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公開日:2021/10/25
  最終更新日:2022/12/12

不服申し立てで請求側の主張が認められました。(9)

審査の思考を分析し、不支給から2級に

社会保険労務士・精神保健福祉士の小西です。

先週水曜日、関東信越厚生局の社会保険審査官から、「保険者(国)が初診日不明のため却下とした決定を変更し、障害基礎年金2級の支給と認める」旨の(保険者による処分変更)連絡がありました。

年金請求までの経緯

請求人は、平塚市在住の50代男性で、数年前、ご自身で持続性気分障害で請求手続きをされましたが、初診日不明のため不支給(却下)となっていました。
別の医療機関に転院し、過去に障害年金が不支給となった経緯を知った主治医から当社を紹介されました。

年金事務所から前回請求書類の写しを取寄せ、病歴・就労状況等申立書に記載されている医療機関を1軒ずつ辿っていきました。
予想していたものの、30年以上前の初診日を証明することは困難を極めました。
多くの医療機関では、カルテが廃棄されていましたが、数年前に受診した医療機関で心理検査(WAIS-Ⅲ)を受けていることが判明。早速、検査結果写しを取寄せると軽度精神遅滞に相当する数値であることがわかりました。

ご存知ですか? 障害年金の「前回請求」に関連すること

精神遅滞(知的障害)は、原則として初診日が出生日となるため、初診日証明は不要となります。精神遅滞を主傷病として診断書を提出すれば、初診日を特定せずとも、再請求で障害基礎年金2級を受給できると判断しました。
尚、前回不支給となった診断書傷病名である持続性気分障害を省略するのは、逆に不自然になると考え持続性気分障害も副傷病としました。

再請求の方針を主治医に説明し、理解と同意を示されたため、精神遅滞の状態像を中心に診断書を作成して頂きました。また、持続性気分障害による諸症状は、精神遅滞を起因(同一疾病)していることが分かるよう工夫して頂きました。

知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱いについて

不服申立て

不支給の理由を分析

結果は不支給、理由として3点示されていましたが、メインは「請求傷病は『精神遅滞』であるが、『持続性気分障害』の影響が加わっていると判断したこと。」でした。

審査官の思考順序を整理してみると、

  1. 1.請求人は過去に「持続性気分障害」で請求したが初診日不明で却下となっている。
  2. 2.今回の再請求も「持続性気分障害」の初診日は不明である
  3. 3.そうすると、「持続性気分障害」の障害状態は障害等級審査の対象にならない
  4. 4.診断書の主傷病は、「精神遅滞」だが、「持続性気分障害」も併記されている
  5. 5.「精神遅滞を起因と考えられる多彩な症状(持続性気分障害)を認めている」と記載されている
  6. 6.日常生活能力の判定・程度は2級相当だが、「持続性気分障害」の影響を差引くと、2級不該当にできる

と辿ったのではないかと想像しました。

不服申立てで主張すること

そこで、不服申立てでは、以下の2点を反論として主張しました。

①「精神遅滞」と「持続性気分障害」は「同一疾病」である

「知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱い(情報提供)」によると、
「(4)知的障害と診断された者に後からうつ病が発症した場合は、知的障害が起因して発症したという考え方が一般的であることから「同一疾病」とする。」と記載されている。
「うつ病」と「持続性気分障害」はICD-10コードでは共に気分障害(F3)に分類されている。つまり、「持続性気分障害」もまた、知的障害が起因して発症したという考え方が一般的と言うことができる。

念のため、主治医から、「持続性気分障害」は、「精神遅滞」が起因しており、両傷病名は「同一疾病」(初診日は出生日)であるとする「医師の意見書(1)」を取得しました。

②「精神遅滞」単体でも、診断書の評価は変わらない

仮に、「精神遅滞」と「持続性気分障害」が「別疾病」と取り扱い、「精神遅滞」のみとした場合でも、診断書の評価(日常生活能力の判定・程度は2級相当)は変わらないとする「医師の意見書(2)」も取得しました。

処分変更により、障害年金支給が決定

結果として、審査請求書の提出から半年かかりましたが、保険者は判断の誤りを認め、処分変更となりました。

知っているはずの取扱いに従うとは限らない

本件の対応を通して感じたことは、再請求の審査官には認知バイアスがかかるということです。過去に不支給処分としているので、「余程の根拠がなければ支給決定しない」という意気込みにも似た先入観が醸成されるのかも知れません。

というのも、①で示した「知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱い(情報提供)」は、障害年金専門の社労士なら、誰でも知っていることだからです。社労士が知っているのに、取扱いを策定した側の審査官が知らないはずがありません。

「障害年金は一発勝負」、「初回請求で不支給になると、再請求時のハードルが上がる」などと言われる所以は、こういうところにあります。

障害年金の初回請求の重要性を理解しよう

私の反省点としては、「社労士の誰もが知っていることだから、審査官も知っているはず」と楽観視をしたことです。これもまた、認知バイアスと言えるでしょう。
今後は、審査官の思考順序を先読みして、審査官が認定基準に沿った適切な処分が下せるよう工夫するなど書類準備により一層磨きをかけて参ります。

代表 社会保険労務士 小西
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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