もくじ
自分で保険料納付状況を確認するには
障害年金の請求を、社会保険労務士などの専門家に依頼せずご自身で行う場合は、まず年金事務所等の相談窓口で、保険料納付要件を満たしているかを確認します。
年金事務所には住所地ごとの管轄がありますが、障害年金に関する手続きは全国どこの年金事務所でも行うことが可能です。
一方、社会保険労務士等に依頼した場合は、代理人として手続き全般を行うことができるため、原則としてご本人が年金事務所や共済組合と直接やり取りする必要はありません。
初回相談は年金事務所? それとも市町村役場?
保険料納付要件の確認や請求書類の取得に関する相談窓口と必要書類については、下の表をご参照ください。
| 初診日に加入していた制度 | 相談窓口 | 用意するもの |
|---|---|---|
| 厚生年金 | 年金事務所 |
・基礎年金番号と本人確認書類(運転免許証・精神障害者保健福祉手帳等)またはマイナンバーカード(原本) ・現在の病名と初診日のメモ |
| 国民年金 | 市町村役場の担当課または年金事務所 | |
| 公務員等 (厚生・共済) |
各共済組合の担当課 | 基本的な対応は、電話および郵送となります なお、状況によっては、職員番号や所属先の情報(退職済みの場合は最終の所属先)が必要となる場合があります |
- CHECK!
- ご本人が来所できない場合は、委任状(日本年金機構)および代理人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)の提出が必要となります。
初診日は必ず事前に調べておく
初回相談の前に、初診日の考え方について十分に理解したうえで、事前に調査を行い、ほぼ間違いないと考えられる日付を把握しておきましょう。
年金事務所では、相談内容ややり取りの経過を「相談事跡管理システム(事跡)」に入力しています。これは、次回相談時や担当者間の引き継ぎを円滑に行うためのものです。しかし、あいまいな記憶のまま初診日を伝えてしまうと、その内容が記録として残り、後の手続きに影響する可能性があります。
伝えた初診日よりも前にほんとうの初診日があった場合には、大きな問題とならないことが多いでしょう。一方で、実際の初診日が伝えた日付よりも大幅に後であった場合には、事跡との不整合が生じ、請求後に返戻となって説明を求められる可能性があります。説明に合理性があれば問題ありませんが、十分な裏付けを示せない場合には、追加資料の提出を求められるなど手続きが複雑化し、結果として進行が滞るおそれもあります。
また、年金事務所は予約制であり、予約時の電話で初診日を確認されることがあります。その時点で初診日が確定していない場合には、あいまいな日付を伝えるのではなく、「予約日までに確認しておきます」とのみ伝えるようにしましょう。
なお、年金事務所の初回相談は混雑していることが多く、予約が1か月以上先になることもあります。初診日における加入制度が国民年金であることがあらかじめ分かっている場合には、市町村役場の国民年金担当課を相談窓口とすることも検討するとよいでしょう。
初診日を伝え保険料納付状況を確認する
誕生月に届く「ねんきん定期便」や、スマートフォン版の「ねんきんネット」でも保険料の納付状況を確認することはできます。ただし、年金保険料の具体的な納付日や、免除・猶予の申請日までは把握できません。
20歳前障害に該当する方や、初診日までの全期間について国民年金保険料を遅滞なく納付している(免除・猶予の申請を含む)と自信をもって言える場合を除き、年金事務所等であらためて確認することをお勧めします。
まず、年金事務所等の相談窓口で初診日を伝えたうえで、年金記録を照会するためのシステムから、以下の記録(ハードコピー)を出力してもらいましょう。
- 被保険者記録照会(納付Ⅱ)〔通称:04画面〕
- 被保険者記録照会(納付Ⅰ・過不足納)〔通称:03画面〕
- 被保険者記録照会(免除)〔通称:06画面〕
- 制度共通被保険者記録紹介回答票(職歴原簿参照)〔通称:職歴原簿〕
(ア)保険料納付要件をおさらい
納付要件を満たしていないと障害年金を請求することはできません。まずは年金記録にて年金保険料の納付状況を確認します。
初診日の前日において、初診日を含む月の前々月までの被保険者期間のうち、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
◎ 年金保険料を3分の2以上納付していること
◎ 直近1年間に保険料の未納がないこと
実務の現場では、まず「直近1年間に未納がない」という要件を満たしているかどうかから確認するのが一般的です。
(イ)ケーススタディをもとに自分の納付要件を確認する
年金記録の様式や記号は初めて見ると分かりにくいため、ケース別に解説を加えています。
確認に入る前に見方を把握しておくと理解しやすくなります。
| カテゴリ | 記号とその意味 | 留意点 |
|---|---|---|
| 納付済 | A……定額保険料 P……前納定額保険料 +……第3号納付 /……第2号被保険者または無資格 |
『/』は国民年金未加入の意味です。「第2号被保険者(厚生年金加入)」のことが多いですが、「無資格」を意味することもあります。 具体例は❶参照 |
| 免除 猶予 |
Y……法定免除 Z……申請免除(全額) サ……学生納付特例 セ……納付猶予 |
納付要件の計算においては、納付済として扱うことができます。 ただし、その免除や猶予の申請が初診日より前に済んでいたことが前提です。 具体例は❷参照 Yの場合のみ申請日を問わず納付済と扱ってOKです。 |
| 未納 | *……未納 |
具体例
➊初診日が厚生年金のケース
初診日が平成25年8月4日の場合


確認手順
- 初診日の属する平成25年8月に○を付ける
- その前々月である平成25年6月から直近1年間が分かるように「」で囲む
- 「」で囲んだ範囲に未納が無いか確認する
- 全て『/』(厚生年金加入)なので未納無し=直近1年間の納付要件を満たす
- ポイント
- 「/」は国民年金未加入を意味します。職歴原簿で厚生(共済)年金加入期間であることを必ず確認してください。
加入が確認できない場合は未納扱いとなります。
❷免除・猶予期間が含まれるケース
初診日が平成28年9月28日の場合


確認手順
- 初診日の属する平成28年9月に○を付ける
- その前々月である平成28年7月から直近1年間が分かるように「」で囲む
- 「」で囲んだ範囲に未納が無いか確認する
- 『Z』(全額免除)と『/』(厚生年金加入)のみ
- 全額免除は初診日より前に申請済みである。『/』と合わせて未納無し=直近1年間
の納付要件を満たす
- ポイント
- 猶予や免除を示す記号がある場合には、その申請日が初診日より前であるかどうかを、必ず被験者記録照会(免除)で確認してください。
申請日が初診日より後であった場合には、その期間は未納として取り扱われます(初診日の時点では滞納状態であったため)。
❸全期間の3分の2要件でみるケース
初診日が平成22年4月17日の場合


確認手順
- 初診日の属する平成22年4月に○を付ける
- その前々月である平成22年1月から直近1年間には『*』(未納)がある
=直近1年間では満たせない
⇒ 全期間の3分の2で満たせないか?に切り替え - 平成11年4月~平成11年7月の『/』は未成年(未加入)を示すので数えない
(この人は平成11年8月に20歳到達) - 全期間は127月
- そのうち納付済期間(『/』『A』『+』)は103月=3分の2の納付要件を満たす
- ポイント
- 『A』など、保険料の納付を示す記号がある場合には、その収納年月日が初診日より前であるかどうかを、必ず被保険者記録照会(納付Ⅰ・過不足納)で確認してください。
収納年月日が初診日より後であった場合には、その期間は未納として取り扱われます(初診日の時点では滞納状態であったため)。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士
