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公開日:2024/08/05
  最終更新日:2024/08/06

障害年金制度見直しの実現可能性

障害年金制度見直しの実現可能性

障害年金制度見直しの実現可能性評価

社会保険労務士精神保健福祉士の小西です。

令和6年7月30日に開催された社会保障審議会(年金部会)で、障害年金制度の見直しについて議論されました。
公開された資料から議題を確認することができますので、各議題の実現可能性について考察してみました。
あくまで個人的な見解ですので、誤解のないようお願いします

可能性高(障害厚生年金)初診日要件の緩和

障害厚生年金障害基礎年金に比べて手厚い給付を受けることができます。現行では、初診日を基準に請求すべき制度が決まるので、たとえ厚生年金加入中に発症しても初診日が退職後だと、障害基礎年金での障害年金請求になってしまいます。
精神障害等、発症から実際の受診が遅れることが多い障害を救済する目的で、2つの案が検討されています。

❶延長保護

退職後、一定期間の間に初診日があれば、厚生年金加入中と同等に障害厚生年金が請求可能になります。一定期間は、具体的に示されていませんが、退職後「3か月、6か月、1年、1年6か月」のいずれかになるでしょう。

➋長期要件

遺族厚生年金には短期要件と長期要件があります。長期要件は「受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合」とされており、お亡くなりになった時点で在職中である必要はありません。
この仕組みを障害年金にも取り入れて、初診日が国民年金加入中であっても、受給資格期間がある一定以上ある場合は障害厚生年金が請求可能にするというものです。

発症から実際の受診が遅れた人を救済する目的を鑑みれば、❶延長保護の導入が自然であり、事務手続きの運用も問題はなさそうなので、個人的には「実現可能性は高い」と考えています。

可能性低事後重症請求の遡及認定

現行制度では、障害認定日(1年6か月または20才到達日のどちらか遅い方)の障害状態が軽い場合や当時の診断書が取得できない場合は、基本的に事後重症請求になります。
そうすると、障害状態が重くなった瞬間に事後重症請求しなければならず、相当な期間、障害等級に該当しているにも関わらず障害年金を受給できないが存在していることが現状です。
見直し案では、障害認定日でなくとも障害等級に該当するに至った日の翌月に遡って障害年金を支給するというものです。
現行の事後重症請求

今回の見直し案の中では、かなり踏み込んだ議題であること思います。類似の救済措置は、かつて(数年前に廃止になりました)国家公務員共済組合(KKR)が運用しており、障害認定日の障害等級が3級非該当の場合、5年前の診断書を提出することで5年前に遡及して障害年金を支給していました。
KKRでも採用していたので、事務手続きの運用は問題なさそうです。しかし、これを認めると障害年金の給付額は激増することが容易の想像できるので「実現可能性は低い」としました。

決定済直近1年要件の10年延長

納付要件は基本的に以下の3つのいずれかを満たしている必要があります。
❶初診日のある月の前々月までに全期間の2/3を納付している
➋初診日のある月の前々月までの直近1年を納付している
❸20歳より前(年金制度に加入する前)に初診日がある

このうち➋は令和8年3月31日までの特例措置でしたが、10年間の延長が決定しました。

やや高法定免除期間を納付済期間とみなす

障害等級が2級以上に決定すると、国民年金保険料は法定免除となります。現行では、65才以降の老齢基礎年金の年金額に反映されるものの、法定免除期間は1/2で計算されます。これを見直し、納付済期間として取り扱うことで、老齢基礎年金の減額を回避しようというものです。
この見直し案が採用されれば、本人や家族は大きな安心を得ることができます。懸念点としては、同じく法定免除が適用されている生活保護利用者の取り扱いについてです。公平性の観点から同じく納付済期間とするべきですが、経済的に余裕のない中、国民年金保険料を毎月支払っている国民から反発が起きる可能性があります。そのため「実現可能性はやや高い」としました。

障害年金を受給するなら知っておきたい「法定免除」

可能性低障害年金と就労収入の調整

例外(20歳前障害)を除き、原則として障害年金は就労して収入があったとしても障害年金が支給停止や減額になることはありません。これを見直し、「20歳前障害」と同様に一定額以上の収入がある場合は支給停止や減額をしようとするものです。
ただし、「20歳前障害」が所得による支給制限が設けられているのは、本人に負担を求めない無拠出制(福祉的)年金のためです。拠出制(20歳後障害)の年金にも適用範囲を広げることは「社会保障の理論と相反する」との意見も挙がっているようです。
また、国は障害に関係なく、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」の実現のために障害者雇用率を段階的に引き上げています。
加えて、老齢厚生年金には在職老齢年金(年金と月収の合計が基準額を超えると、年金を減額する仕組み)がありますが、高齢者の労働を促すため、基準額を引き上げるなど緩和する方向に進んでいます。
このような時代の流れを考慮して「実現可能性は低い」としました。

代表 社会保険労務士 小西
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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