扶養は税法上と社会保険上で判定方法が異なる
さがみ社会保険労務士法人の末松です。
障害年金の受給にあたり、「扶養から外れますか?」「確定申告はやり直しになりますか?」「仕事をしても大丈夫ですか?」といったご不安やご質問を多くいただきます。
実は、「扶養」と一言でいっても、税法上の扶養と社会保険上の扶養では判定方法が異なります。
今回は、その違いと注意点について解説します。
税法上の扶養(所得税・住民税)
税法上では、障害年金と年金生活者支援給付金は非課税のため、扶養判定の収入には含まれません。
扶養の判定は、給与収入や事業による所得など、課税対象となる収入・所得をもとに行われます。
扶養判定とは、配偶者や家族の扶養に入れるかどうかを、収入などの条件をもとに判断することです。
そのため、障害年金を受給したことだけを理由に、税法上の扶養から外れたり、確定申告を修正したりする必要は基本的にありません。
- 注意点
- 給与収入のみの場合は、現時点では年間136万円が扶養判定の一つの目安となります。
ただし、この基準額は税制改正により変更される場合があります。
給与収入以外に事業収入や不動産収入などがある場合は、扶養判定が異なることがありますので、税理士や税務署へご相談ください。
社会保険上の扶養(健康保険の被扶養者)
社会保険上では、税法とは考え方が異なります。
健康保険の被扶養者認定では、障害年金も収入として判定されます。
また、障害年金2級以上の方が受給できる年金生活者支援給付金についても、収入として取り扱われます。
判定対象となる主な収入は、以下の通りです。
- 就労による収入(給与収入など)
- 障害年金
- 年金生活者支援給付金(対象者のみ)
これらを合計した年間収入見込み額が180万円を超える場合は、健康保険の被扶養者から外れる可能性があります。
過去分の障害年金をまとめて受給した場合
障害年金は、初回の支給時に数か月分から数年分をまとめて受給することがあります。
この場合、「まとめて振り込まれた金額すべて」がその年の収入として扱われるわけではありません。
社会保険上の扶養判定では、「いつ振り込まれたか」ではなく、「どの期間の年金なのか」で収入を判断します。
例えば……
令和8年10月に障害年金の認定を受け、令和7年10月分から令和8年9月分までの1年分(12か月分)がまとめて支給されたとします。
この場合でも、令和8年の扶養判定では、
- 令和7年10月~12月分
- 令和8年の収入には含めません。
- 令和8年1月~9月分
- 令和8年の収入として判定されます。
つまり、「一度に受け取った金額」ではなく、「令和8年1月以降に対応する年金額」が令和8年分の収入として扱われます。
そのため、令和8年分の
- 就労による収入(給与収入など)
- 障害年金(令和8年分)
- 年金生活者支援給付金(対象者のみ)
を合計した年間収入見込みが180万円を超える場合は、健康保険の被扶養者から外れる可能性があります。
株や配当、不動産収入はどうなる?
「株の利益や配当金、不動産収入は扶養判定に影響しますか?」というご質問をいただくこともありました。
- 税法上
- 株の利益や配当金、不動産収入などは、税法上では扶養判定の対象になる場合があります。
- 社会保険上
- 社会保険では、不動産収入などの継続的な収入は扶養判定の対象となります。
一方で、株式の売却益や配当金については、加入している健康保険組合や協会けんぽによって取扱いが異なる場合があります。
そのため、資産収入がある方は、加入している健康保険へ確認しておくと安心です。
まとめ
障害年金を受給した場合の扶養判定は、税法上と社会保険上で考え方が異なります。
- 税法上(所得税・住民税)
- 障害年金・年金生活者支援給付金は収入に含めない
- 基本的に確定申告の修正は不要(障害年金を受給したことだけを理由に)
- 社会保険上(健康保険)
- 障害年金は収入に含める
- 年金生活者支援給付金(対象者)は収入に含める
- 就労による収入と合算し、年間収入見込み180万円を超える場合は、被扶養者から外れる可能性がある
- 株式の配当や売却益などの資産収入は、健康保険ごとに取扱いが異なるため確認が必要
扶養から外れる可能性がある場合は、早めに配偶者の勤務先や加入している健康保険組合へ相談しましょう。
本記事は一般的な制度の概要を説明したものです。
個別の扶養認定については、加入している健康保険組合や協会けんぽの取扱いによって異なる場合がありますので、詳細は加入先へご確認ください。
- 末松
- さがみ社会保険労務士法人
平塚オフィス所属 - 社会福祉士
