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公開日:2025/09/22
  最終更新日:2025/09/22

令和6年度障害年金業務統計が公表されました。

障害年金に係るふたつの資料

社会保険労務士精神保健福祉士の小西です。
9月19日、厚労省(社会保障審議会年金事業管理部会)より障害年金にかかる2つの資料が公表されました。
社会保障審議会年金事業管理部会資料(第80回)|厚生労働省

「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」への対応状況

調査報告書が公表された経緯については関連記事をご覧ください。

「不支給倍増報道」を受けて厚労省が調査報告書を公表

令和6年度の不支給事案約11,000件を点検しており、これまで約4.3%が支給へと判断が覆りました。点検に際して重視した病状や状態像、療養状況、生活状況、就労状況の具体例を示し、事前確認票と認定調書の改正イメージを公表しました。

障害年金事前確認票(旧)障害年金事前確認票(新)
▲左が旧、右が新(クリックで拡大します)

不支給倍増問題の主因である「職員による等級案」は廃止し、認定医の判断に資する客観的事実のみを記載する形式になりました。また、不支給事案については複数認定医による審査を経るため、以前よりは公平性が確保される仕組みとなります。

障害年金業務統計(令和6年度決定分)

全障害

・障害基礎・厚生年金(新規裁定)の合計(カッコは前年比)

決定数 146,225件(1.02)
不支給割合 13.0%(1.54)

精神障害・知的障害

・障害基礎・厚生年金(新規裁定)の合計(カッコは前年比)

決定数 99,387(1.00)
不支給割合 11.8%(1.85)

ポイント解説

基礎年金は決定数が業務統計初の減少

調査報告書に職員のコメントとして「認定医からも、症状の軽い人の請求が増えているとの声を聞いている。昔は通院に抵抗があったが、SNS等で拡散され、通院が増えている。結果、障害年金を請求しやすくなったのではないか。明らかに非該当という方も多くなっているように思う。」とありました。個人的に「請求者増=症状の軽い人の請求が増えている」に違和感がありましたが、相関を示す数字上の根拠はありませんでした。

不支給割合は11.8%、内訳は基礎年金13.9%(1.95)、厚生年金6.5%(1.51)

調査報告書の抽出調査(12.1%)と同様の結果となりました。基礎年金の不支給割合は前年比ほぼ2倍になっています。調査報告書では認定プロセスに問題はないと結論づけていますが、やはり何かしらの要因があったのでしょう。

厚生年金の決定割合は1級(0.88)と2級(0.79)が減少、3級(1.15)と不支給(1.51)が増加

令和6年度は、厚生年金2級の実質的なハードルは高くなり、特に「独居かつ福祉サービス利用なし」や「休職中」は診断書が2級相当であっても3級に決定することが多くなりました。不支給倍増問題に隠れていますが、個人的には不支給と同じくらい大きな問題と捉えていました。厚生年金2級は前年比2割減、その2割が3級へ級下げとなり、3級相当の一部が玉突き的に不支給となった格好です。
障害基礎年金(精神障害・知的障害)の裁定結果の件数と割合

障害厚生年金(精神障害・知的障害)の裁定結果の件数と割合

代表 社会保険労務士 小西
小西 一航
さがみ社会保険労務士法人
 代表社員
社会保険労務士・精神保健福祉士

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