社会保険労務士・精神保健福祉士の小西です。
今回は、障害年金の受給が決まった場合に手続きが必要な、法定免除についてご案内します。
法定免除とは
国民年金保険料の支払いは国民の義務ですが、以下に該当する方は保険料の支払いを免除されます。
このことは、法律(国民年金法第89条)で規定されていることから「法定免除」といいます。
法定免除の対象者
- (1)生活保護の生活扶助を受けている方
- (2)障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている方
- (3)国立ハンセン病療養所などで療養している方
障害年金2級以上の受給権者は(2)に該当し、法定免除となります。
障害年金2級以上の受給権者は法定免除となります。障害認定日請求(遡及請求)を行い、過去に遡って受給権が発生した場合でも、障害認定日(初診日の1年6ヵ月後)の前月の保険料から法定免除となります。納付済保険料は原則として還付されるため、障害認定日が古い方は多額の保険料が還付されます。
厚生年金など被用者年金の被保険者は、法定免除の対象外となります。
法定免除の届出方法
年金事務所の国民年金課または市町村役場の国民年金担当へ国民年金被保険者関係届書(申出書)(日本年金機構)を提出します。
その際は、身分証明書と年金証書を持参しましょう。代理人の場合は委任状も必要になります。
申出書の記入は、以下のとおりです。
- 「日付」「氏名(記入者)」を記入し、「被保険者との続柄」は「1.本人」に〇印。
(家族の場合は「2.その他」に〇印、続柄を記入) - 「A.被保険者」に必要事項を記入
- 「B.届出(申出)事項」の「⑩届出種類・番号」は「保険料免除理由該当届8」に〇印
- B.の「⑪該当・申出年月日/出産(予定)日」は「受給権を取得した年月日」を記入します。
以下の日付を記入します。
●認定日請求:障害認定日
●事後重症請求:請求日(提出日)
●遡及請求:遡及請求の場合、「受給権を取得した年月日」は決定内容によって異なります。主な例は次のとおりです。
・認定日時点が2級以上で、請求日時点も2級以上の場合
→ 受給権取得日は 障害認定日
・認定日時点は3級、請求日時点が2級以上の場合
→ 受給権取得日は 現在の診断書の現症日
・認定日時点は不支給で、請求日時点が2級以上の場合
→ 受給権取得日は 請求日(提出日)
詳しくは、年金事務所の国民年金課または市区町村役場の国民年金担当窓口に確認することをおすすめします。 - 「⑫理由等」は「1.法89条第1号(障害基礎年金等)」に〇印
- 「⑬保険料納付申出の確認」は「2.希望しない」に〇印
法定免除ではなく納付を選ぶこともできる
将来の老齢基礎年金の受給額を減らしたくない場合は、法定免除を受けずに保険料を納付すること(納付申出)もできます。
納付申出を行った期間は、保険料を納付している人と同様に扱われるため、前納制度や付加年金、国民年金基金への加入などの制度を利用することができます。
遡及して法定免除となった期間の保険料は還付される
遡及請求により障害認定日にさかのぼって受給権が発生した場合、原則として障害認定日の属する月の前月から法定免除が適用され、すでに納付している国民年金保険料は還付されます。
国民年金被保険者関係届書(申出書)を提出すると、しばらくして国民年金保険料還付請求書が送付されます。還付金の振込先口座などを記入し、返送することで受け取ることができます。
- ケーススタディ
- 平成28年5月5日に初診日、障害認定日が平成29年11月5日の方が、遡及請求により、障害認定日にさかのぼって受給権が発生した場合、法定免除の適用開始月は平成29年10月になります。
この場合、平成29年10月以降の国民年金第1号被保険者期間における保険料納付済期間(記号A)に該当する、平成30年4月から令和7年3月までの84か月分の保険料は還付されます。
「法定免除」と「納付」どちらを選択すべきか
障害年金2級が決定した方から、「これまで保険料支払いをしてきたが、今後は法定免除となるのは経済的に助かる。しかし、将来の老齢年金が少なくなるのは困るので、どちらにすべきかアドバイスしてほしい」という質問を受けることが多いです。
しかし、寿命や障害年金の受給権者(法定免除)期間を予測することはできないので、正解はありません。これは、老齢年金の繰上げ、繰下げ受給の最適時期を判断することが難しいのと一緒です。
この回答では身も蓋も無いので、「経済的に余裕がなければ、まずは法定免除を選択してみてはかがでしょうか。追納制度がありますので、10年以内であれば、余裕が出た際にまとめて納付することができますよ。」とお伝えしています。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士


