令和7年度の障害年金業務統計
社会保険労務士・精神保健福祉士の小西です。
日本年金機構より、「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」が公表されました。
昨年度(令和6年度)は、障害年金の不支給割合が大きく上昇し、特に精神障害・知的障害では、障害基礎年金の不支給割合が前年の約2倍となるなど、大きな変化がありました。
その後、厚生労働省による不支給事案の点検や認定業務の運用改善も行われています。
では、令和7年度はどうなったのでしょうか。
今回は、当社で取り扱いの多い精神障害・知的障害を中心に、令和6年度との比較を見ていきます。
精神障害・知的障害の新規請求
まず、新規裁定の決定件数です。
障害基礎年金と障害厚生年金を合わせた件数は、
令和6年度 99,386件
↓
令和7年度 98,917件
となりました。
令和6年度は、障害基礎年金の決定件数が統計開始後初めて減少しましたが、令和7年度は基礎・厚生を合わせた件数も前年を下回っています。
大幅な減少ではありませんが、少なくとも「障害年金の請求が年々増え続けている」という状況ではなくなっています。
障害基礎年金の不支給割合は13.9%から10.6%へ
今回、特に注目したいのが障害基礎年金です。
精神障害・知的障害における不支給割合は、
令和6年度 13.9%
↓
令和7年度 10.6%
となり、3.3ポイント低下しました。
令和6年度は、前年と比較して不支給割合がほぼ倍増するという極めて大きな変化がありました。
令和7年度はそこから低下しています。
ただし、「元に戻った」とまではいえません。
令和6年度の急激な上昇からは改善したものの、過去の水準との比較も含めて、今後の推移を見ていく必要があります。
障害厚生年金は令和5年度の等級割合におおむね戻る
もう一つ注目したいのが、精神障害・知的障害における障害厚生年金の等級割合です。
昨年の記事では、
令和6年度は、厚生年金2級の実質的なハードルは高くなり、特に「独居かつ福祉サービス利用なし」や「休職中」は診断書が2級相当であっても3級に決定することが多くなりました。
と書きました。
実際、令和6年度は2級の割合が低下する一方、3級と不支給の割合が上昇していました。
ところが、令和7年度はこの傾向に変化がみられ、等級割合はおおむね令和5年度の水準に戻っています。
令和6年度だけを見ると「今後、障害厚生年金2級の認定が厳しくなっていくのではないか」とも考えられる状況でした。
しかし、令和7年度の数字を見る限り、令和6年度の等級割合がそのまま定着したわけではなさそうです。
実務を行っている立場としても、ここは今回の統計で非常に注目していた部分です。
再認定(更新)は大きな変化なし
新規裁定とは別に、すでに障害年金を受給している方の再認定についても確認しました。
こちらは、令和7年度に大きな変化は認められませんでした。
新規裁定では令和6年度から令和7年度にかけて認定状況に動きがありましたが、再認定については比較的安定して推移しています。
令和7年度の統計から分かること
今回の統計をまとめると、
- 障害基礎・厚生年金の合計請求件数は減少
- 99,386件 → 98,917件
- 障害基礎年金の不支給割合は低下
- 13.9% → 10.6%(▲3.3ポイント)
- 障害厚生年金の等級割合は、おおむね令和5年度の水準に戻る
- 再認定は安定しており、大きな動きは認められない
という結果になりました。
令和6年度は、不支給割合の急上昇や障害厚生年金2級の減少など、例年とは明らかに異なる動きがみられました。
令和7年度の統計を見ると、その状況がさらに進んだわけではなく、一部では令和6年度の反動ともいえる動きが確認できます。
一方で、障害基礎年金の不支給割合は令和6年度より低下したとはいえ、以前の水準まで完全に戻ったわけではありません。
また、統計はあくまで全国の決定結果を集計したものです。
個々の障害年金の認定は、診断書に記載された障害状態だけではなく、日常生活状況や就労状況などを踏まえて判断されます。
令和6年度の「不支給倍増問題」を経て、障害年金の認定が今後どのように推移していくのか。
令和8年度以降の統計についても引き続き確認していきたいと思います。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
- 社会保険労務士・精神保健福祉士



