障害年金を受給している方にとって、更新(再認定)は大きな関心事の一つです。
障害年金の更新期間は、原則として1年から5年の間で設定されます。また、障害の状態によっては、更新の必要がない「永久認定」となる場合もあります。
近年、この更新期間に変化が見られます。
今回は、障害年金業務統計を基に、再認定における更新期間の推移を確認していきます。
なお、今回紹介するデータは、精神障害や知的障害に限定したものではなく、身体障害なども含む、すべての障害を対象とした統計です。
そのため、精神障害や知的障害の更新期間についても、必ずしも同じ傾向が当てはまるとは限りません。
1.再認定では5年更新が減少、3年更新が増加
まず、すでに障害年金を受給している方が対象となる再認定(更新)のデータを見てみましょう。
再認定全体の更新期間別の割合は、次のように推移しています。
【再認定(合計)の更新期間の推移】

特に注目したいのが、5年更新と3年更新の割合です。
5年更新の割合は、令和5年度の43.4%から令和7年度には30.8%へと、12.6ポイント減少しました。
反対に、3年更新の割合は23.9%から36.8%へと、12.9ポイント増加しています。
また、永久認定の割合も減少しています。
これらのデータから、再認定では、以前よりも短い更新期間が設定される割合が増えていることがわかります。
2.障害基礎年金では、さらに大きな変化が見られる
次に、障害基礎年金の再認定について確認します。
【再認定(障害基礎年金)の更新期間の推移】

障害基礎年金では、5年更新が令和5年度の47.7%から令和7年度には32.0%まで減少しています。
一方、3年更新は17.4%から32.5%へと増加しました。
特に令和7年度は、3年更新(32.5%)が5年更新(32.0%)をわずかに上回っています。
長期間の更新が減り、3年更新などに移行している傾向が読み取れます。
3.令和3・4年度のデータには注意が必要
ここで注意したいのが、新型コロナウイルス感染症の影響です。
令和3年度から令和4年度にかけて、5年更新の割合が大幅に増加しています。
例えば、再認定全体の5年更新の割合は、次のとおりです。
【再認定(障害基礎年金)の更新期間の推移】

コロナ禍では、医療機関の受診や診断書の取得が難しくなる状況を踏まえ、障害状態確認届の提出期限を延長する特例措置が実施されました。
また、この時期には、次回更新までの期間についても、通常より長めに設定された可能性が考えられます。
ただし、提出期限の延長と更新期間の設定は別の取り扱いであり、5年更新の増加がコロナ禍の措置によるものだったと確認できているわけではありません。
したがって、令和4年度の52.0%を通常時の水準として捉え、現在の30.8%と単純に比較することには注意が必要です。
それでも、令和5年度以降に限って見れば、5年更新の割合が減少し、3年更新の割合が増加していることは確かです。
4.更新期間が短くなると、受給者にどのような影響がある?
更新期間が短く設定されると、それだけ頻繁に診断書を提出する必要があります。
例えば、5年更新であれば5年に1回ですが、2年更新であれば2年に1回、医師に障害状態確認届を作成してもらわなければなりません。
診断書の作成費用がかかるだけでなく、更新のたびに等級変更や支給停止への不安を感じる方も少なくないでしょう。
もっとも、更新期間が短くなったことと、障害年金が支給停止になりやすくなったことは別の問題です。
更新期間は、障害の状態や今後の変化の見込みなどを踏まえて設定されるものであり、更新期間が短いからといって、次回の更新で支給停止になるという意味ではありません。
5.まとめ
今回のデータから、次のような傾向が確認できました。
- 再認定では、令和5年度以降、5年更新の割合が減少している
- その一方で、3年更新の割合が増加している
- 障害基礎年金の再認定では、特に大きな変化が見られる
- 令和3・4年度のデータには、コロナ禍の影響が含まれている可能性がある
今回の統計はすべての障害を対象としているため、精神障害や知的障害に限った傾向を示すものではありません。
更新期間の構成が変化していることは確認できますが、その理由については、引き続き慎重に見ていく必要があります。
障害年金を受給している方は、更新期間の長短だけにとらわれず、日頃から主治医に日常生活や就労上の困りごとを具体的に伝えておくことが大切です。
当社でも、今後の障害年金の認定傾向について、引き続き情報を発信していきたいと思います。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
- 社会保険労務士・精神保健福祉士
