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わが国の精神科外来診療の特徴と内容について


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公開日:2022/01/28
  最終更新日:2022/02/01

わが国の精神科外来診療の特徴と内容についてまとめ、精神科外来診療における精神保健福祉士の役割について考察しなさい

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本文文字数:2200字

精神保健医療福祉における改革展望として、1987年(昭和62)年に精神衛生法の改正内容、”入院治療中心から地域生活中心への移行”が大きな課題のひとつとされて32年が経過した。当時、諸事案に関する議論としては、長期入院患者に対し地域保健法に基づいた移行支援を敷く体制と同時に、精神病床削減が主体とされた。しかし、精神障害者を地域生活へという形で支援していく外来精神医療に関する在り方についての言及はわずかであった。

令和時代を迎えたわが国における、今後の精神科医療の改革の目標とされるべきは、医療機関中心から地域コミュニティ連携という新たなステージと、ゆるぎない福祉国家への道程に向かっての発想の転換である。精神障害を患い一時的な入院をするという過程があったとしても、永久的に入院継続が可能とされるべくもなく、いずれは地域生活に戻る時を迎え、それがひとりの人間として基本的な権利であることを全国民が受け入れなくてはならない。

また、入院から地域移行する患者の問題に限らず、先進諸国としてのわが国でも昨今の急速な社会情勢や雇用・経済・家庭形態・就学問題などの変動に伴い、さまざまなメンタルストレスや精神的葛藤を抱えて、精神科診療所の扉を叩く者が急増している。

わが国の”メンタルクリニック”と広く認識されている”外来精神科診療所”は、各沿線の駅などから通院しやすい立地条件や、アクセス方法の自由選択肢が広範囲とされ、治療専門性や対費用効果が高いという世界的視点からも稀有な、「特長」ともいうべき利点を備えている。統計可能とされる何らかの精神疾患を有する患者総数の約 92%は、大学付属、総合医療機関を含めた精神科外来診療によって治療を受けており、平成24 年の調査報告ではその53.5% が精神科診療所により、あえて唱える”需要“に対しての”供給”がなされている。

5大疾病として精神疾患が新たに加えられた現在、地域的ケアとして精神障害者を支援していくいわば、”精神ケアインフラ“ともいうべき”対応システム“の構築が早急に必要とされる。ただし、それは機械的に精神疾患者に大量の薬剤を処方投入する、あたかもオートメーション工場のようにルーティン処置という精神医療の質の低下を招くものであっては断じてならない。

その対策案として、まずは医師を筆頭に医療スタッフ全ての専門性知識とスキル、臨床経験の研鑽けんさんが挙げられる。高い専門性を備える個体としての精神科診療所は、その外来機能を強化していくとともに、各診療所間の協力と集合化は必至であり、また関係医療/福祉機関との連携体制構築に創意工夫を鋭意検討・勘案していく必要がある。

わが国の精神保健医療福祉の歴史をひも解くと、それを支えてきた中核的存在は民間精神科病院であった。しかし、この社会情勢不安の影に排出された多くの精神疾患者の、各発病の起因とはいったい何であったかを改めてここに問いたい。高度経済成長時代も含めた経緯に、戦後お国のためにという大義は、企業業績売上増大という名分に挿げ替えられ、軍服は一様にスーツに変わったが、メンタルヘルス並びに福祉という他先進国が将来を見据え、着手課題と掲げる事案には真剣に向き合った姿勢はなかった。

国家としての精神疾患に対する責務を曖昧にし、安上がりな民間施設として丸投げしてきた政策が構築したものは、軟弱な精神保健医療福祉体制である。その結果、世界比において大量の精神科病床が生まれ維持されてきた。わが国の厳しい財政事情、国庫予算から、新たな精神医療体制への大きな配分は現実的ではないが、国を挙げてのイベント・政治関係閣僚や国家公務員の手厚い保護など、微小でも捻出できる余地が皆無でないことは明らかである。

今後は、地域包括ケアの進行に伴い、精神科外来はわが国の精神保健医療福祉体制の中心に位置づけられることは必至と考えられる。それが過去の原因に対する現在の時代の要請への責務に他ならず、政策そのものや、ケアに関わる各人員の真剣な覚悟が今々要されるといっても過言ではない。

精神科医は、風邪などに応ずる内科医と並び、いまや“心の かかりつけ医”というべき存在と需要担保対象でもある。各精神疾患に適切に対応できる能力に加え、自己管轄に収束せず必要に応じた他連携機関につなぐ重要性を認識すべきである。発達障害・児童期問題・アルコール依存・認知症・就労支援などの専門職への橋渡しによる、病状治癒や地域ケア支援を目的とした機能分化の活用の不可欠性、その理由は、精神/保健/医療/福祉というその個々の事案を連結し、初めて「精神保健医療福祉」という政策名となるからである。

精神科外来という門戸から流入し医療チーム専門職への振り分けと同時に、各症状に適正な地域ネットワークという人材・情報・サービスへの流れを創ることが今後のメンタルヘルスの大きな課題となる。その結節点、あたかもシステムデバイスの集線を担うハブ機能に位置していると考えられる存在が、”精神保健福祉士を中核に据えた外来コ・メディカル”である。精神外来診療の質と機能を高めるためには、「つなげてひろがってゆく」という認識なくしてはいまや不可能とされ、人と人・人とサービス・サービスとサービスをつないでいく機能を持つことにより、最も飛躍的にわが国の精神保健医療福祉の質を高め、強化された福祉社会を実現できるという考察に至る。

参考文献

  • PDF 精神科診療所から見た精神科医療のビジョンプロジェクト
    精神科診療所から見た精神科医療のビジョンプロジェクト委員会
    委員長
    上ノ山 一寛(滋賀)
    委員
    池田 淑夫(愛知)
    窪田 幸久(静岡)
    後藤 英一郎(福岡)
    早苗 麻子(北海道)
    紫藤 昌彦(東京)
    田川 精二(大阪)
    原 敬造(宮城)
    URL:http://www.japc.or.jp/library/data/vision/3.Review.pdf

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