障害年金を受給しています。今後、老齢年金の繰下げはできませんか?
A.「老齢年金の繰下げはできない」とは一概には言えません。
厚生年金法44条4により、65歳時点で、他の年金の受給権者となった場合は老齢年金は繰下げできません。そのため、障害年金受給権者は、老齢年金を繰下げできないと説明されることがあります。
しかし、一度、障害年金の受給権者となっても以下の場合は繰下げできます。
- 障害基礎年金受給中に老齢厚生年金を繰下げる場合
- 繰下げは老齢厚生年金、老齢基礎年金と別々に申請できるため、障害基礎年金のみの受給権者は、老齢厚生年金を繰下げすることができます。
障害厚生年金の受給権者は、厚生年金法において繰下げはできません。
受給権がある時点で、(停止や差し止め状態であれば)繰下げはできないこととされています。 - 障害年金の受給権がなくなった場合
- 障害厚生年金を受給しても、受給権がなくなれば繰下げができるようになります。
障害年金3級以上に該当しなくなり、3年経過して65歳になった時点で、障害年金は失権します。
障害年金が失権すれば、受給権がなくなりますので老齢厚生、老齢基礎年金ともに繰下げ可能となります。(厚生年金法53条) - 3級以上に該当しなくなるには、審査により障害年金3級不該当となるケースのほか、ご自身で「障害不該当届」を提出する方法もあります。
- 解説
- 平成6年11月の改正で、「3級に該当しなくなって3年経過したら失権」から、「3級に該当しなくなって3年経過したら65歳までは支給停止状態」に変わりました。停止となっているうちは失権しませんので、支給停止事由消滅届が受理されれば、障害年金の受給が再開されます。

- 黒川
- さがみ社会保険労務士法人
横浜オフィス マネージャー- 社会保険労務士・社会福祉士・両立支援コーディネーター