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手帳が2級=障害年金2級ではない
社会保険労務士・精神保健福祉士の小西です。
いつも当法人のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
ご相談の中で、
「手帳は2級なのに障害年金は不支給だった」
「手帳が1級になったのに、障害年金は3級のまま」
といった“等級のズレ”に戸惑う声をよく耳にします。
実はこのズレは制度の目的・判断基準・対象病名・審査機関が異なるために起こる必然的なものです。
以下では、精神障害者保健福祉手帳と障害年金の等級にズレが生じる理由をわかりやすく解説します。
そもそも制度の「目的」が違う
精神障害者保健福祉手帳
目的:社会参加を促進するための支援制度につなぐこと
→ 各種割引・雇用支援・就労支援など、福祉サービスの利用が主な目的。
障害年金
目的:“働けない・生活できない”状態に対する所得保障
→ 労働や日常生活に大きな支障がある場合に支給される経済的な保障。
障害年金は就労状況も判断基準になる
精神障害者保健福祉手帳
精神疾患の症状の重さだけでなく、日常生活や社会生活にどの程度支障があるかを総合的に見て判断されます。基本的に働いているかどうかは主要な判断基準にはなっていません。
障害年金
精神障害は就労の実態も日常生活状況の一つとして、全体を総合して判断されます。
対象病名が異なる
精神障害者保健福祉手帳
「精神障害者の社会復帰の促進と自立と社会参加の促進」が目的なので、基本的にすべての精神疾患が対象です。
障害年金
神経症(精神病水準にない)、パーソナリティ障害(人格障害)などは対象外です。
審査機関が違う
精神障害者保健福祉手帳
市町村で受付し、都道府県が審査を行います。
障害年金
日本年金機構(共済組合)が受付、審査を行います。
手帳と障害年金は別々の制度なので、判断が違ってもおかしくありません。むしろ、違う制度だからこそ「ズレるのが当たり前」と言えます。
「手帳が2級(1級)だから、きっと障害年金も大丈夫」と思い込みすぎるのは要注意です。障害年金には独自の判断基準や審査傾向がありますので、しっかり準備して手続きに取り組みましょう。
- 小西 一航
- さがみ社会保険労務士法人
代表社員 - 社会保険労務士・精神保健福祉士
