平塚オフィスの金子です。
ぼくは本の中でもとくに伝記というジャンルが好きなのですが、
良い伝記はいかにすばらしいのか
お伝えさせていただければと思います。
良い伝記のすばらしさは大きく分けて2つあると考えています。
①:良い伝記は、その人生全体がいきいきと描かれている。
②:良い伝記は、その人の考えの適切な要約となっている。
とくに①を満たす伝記はごくまれで、
ただ人生を淡々と描いているだけのものも数多くあります。
そういった伝記はエンターテイメント性が低く、
読んでいてあまり面白いものではありません。
また、②を満たしていないと、
内容的に薄っぺらいものとなってしまいます。
まるでその人の人生を追体験しているかのような
伝記がベストなのですが、残念ながら、
こういう伝記にはほとんど出会えていません。
そもそも、伝記が書かれるくらいの人物ですから、
その秀でた部分を魅力的に描くには、
作家自身にも相当な才覚がないと難しいと思っています。
その中でも下記は、それぞれ対象となる人物の
心象まで伝わってくる名作でした。
「G・バタイユ伝(ミシェル・シュリヤ著)」
「スピノザの生涯と精神(リュカス/コレルス著)」
「森の聖者―自然保護の父ジョン・ミューア(加藤則芳著)」
「ウィトゲンシュタイン―天才哲学者の思い出(ノーマン・マルコム著)」
「フランクリン自伝(ベンジャミン・フランクリン著)」
この中で2つのみ簡単な内容を
ご紹介させていただければと思います。
- 「森の聖者―自然保護の父ジョン・ミューア(加藤則芳著)」
- 人生:アメリカのヨセミテ渓谷に、まるで仙人のように
暮らしていた自然を愛する人物像が描かれています。 - 考え:自然を資本主義の猛威から守らなければならないという考えから、
アメリカ最大の発明といわれる「国立公園」の制定や、
今もアメリカにある自然保護団体「シエラクラブ」の創設に
影響を与えています。
- 「フランクリン自伝(ベンジャミン・フランクリン著)」
- 人生:アメリカ100ドル札に印刷された人物であり、
独立宣言の起草に携わった大物政治家、かつ、
自分で凧揚げをして雷に打たれる命がけの実験を行った
科学者という異色の人物の考え・行動が描かれています。 - 考え:アメリカ=資本主義の権化という感じがありますが、
その黎明期にアメリカ人はどのように「成功」を捉えていたのか。
その背後には、実は宗教的な勤勉さもあったことが
読み取れる好著となっています。
みなさまに少しでも伝記の素晴らしさが伝わりましたら幸いです。

- 金子
- さがみ社会保険労務士法人
湘南平塚オフィス所属 - 精神保健福祉士